教育・子育て
朝日新聞出版

親も知らないブラック保育園の実態 どなる・縛る・うつぶせに寝かす…

初出:週刊朝日2017年6月2日号
WEB新書発売:2017年6月29日
週刊朝日

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 それは異様な光景だった。死亡事故が起きたこともある北関東の託児施設では、園児がヒモで縛り上げられ、身動きできないようにされていた。ほかにも、保育士が園児に怒声を浴びせる、危険な寝かせ方をするなど、劣悪な実態がたびたび浮かび上がっている。待機児童の問題が注目を集める現代社会。施設を増やす規制緩和も進んでいるが、これが保育を福祉より営利事業とみる企業の参入を呼び、質の低下を招く一因になっている可能性もある、との指摘もある。「ブラック保育園」の実態を見た。

◇第1章 親も知らない、真性ブラック保育園/待機児童問題の先に待つ落とし穴
◇第2章 増える利益優先の保育園と、そのカラクリ
◇第3章 保育園選び、HPうのみにせず施設見学を


第1章 親も知らない、真性ブラック保育園/待機児童問題の先に待つ落とし穴

 虐待あり、怒声あり、ネグレクト(放置)あり……。子どもが健やかに育つはずの保育園で、劣悪な運営実態がたびたび明らかになる。保育士の人材不足、高まる保護者の要求、運営者の利益至上主義など、問題は複雑に絡み合う。日本社会の縮図といえる保育崩壊の現場とは。

 東京都内の河川敷にある広場。保育園児の楽しそうな遊び声をさえぎるように、怒声が突然響いた。
 「てめぇら、とっとと乗りやがれ!」
 声の主は園児を引率する若い女性保育士。外遊びの時間が終わり、散歩用の手押しワゴンに子どもを乗せようとしたときの声だった。
 現場を目撃した女性は耳を疑った。なぜ園児に怒鳴り声をあげるのか。幸いにも女性の子が通う保育園ではなかったが、ひとごとと思えない。「保育園でわが子が何をされているかわからない」。そんな思いがよぎった。
 従業員を大切にしないブラック企業だけでなく、園児にきちんと接しない『ブラック保育園』が、近年目立つようになった。
 2歳の男児を持つ東京都の30代女性も、そんな保育の現場を体験した。女性は昨年、世田谷区に転入して保育園探しを始めた。待機児童数が全国最多の地だけに、希望の園に入ることはあきらめていた。
 しかし、第2希望だった認可保育園に4月から通えることになった。積極的に外遊びをさせる方針の施設で、入園が決まったときは喜びでいっぱいだった。
 その喜びと期待は、ほどなく不安へと変わる。
 「保育士さんの表情がとても疲れていたんです。園内を見ると、15人くらいの2〜3歳児が1部屋に集められ、保育士は机で事務作業をしている。子どもの様子を誰もしっかり見てなくて、心配になったんです・・・

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親も知らないブラック保育園の実態 どなる・縛る・うつぶせに寝かす…
216円(税込)

それは異様な光景だった。死亡事故が起きたこともある北関東の託児施設では、園児がヒモで縛り上げられ、身動きできないようにされていた。ほかにも、保育士が園児に怒声を浴びせる、危険な寝かせ方をするなど、劣悪な実態がたびたび浮かび上がっている。待機児童の問題が注目を集める現代社会。施設を増やす規制緩和も進んでいるが、これが保育を福祉より営利事業とみる企業の参入を呼び、質の低下を招く一因になっている可能性もある、との指摘もある。「ブラック保育園」の実態を見た。(2017年6月2日号、7100字)

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