経済・雇用
朝日新聞出版

20代社員は休みファースト おじさんたちは会社ファースト?

初出:週刊朝日2017年6月9日号
WEB新書発売:2017年6月29日
週刊朝日

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 激動の60年代、混迷の70年代、虚飾の80年代、喪失の90年代……。そして縮小の21世紀。経済第一で走って来た戦後の日本は、成長より生活重視の時代を経て、不可逆的な停滞・縮小期を迎えつつあるようにも見える。その急激な変化が端的に表れているのが企業だ。会社中心のおじさんたちと、余暇・生活重視の若者たち。世代間のギャップはいつの時代も言われてきたが、今ほど切実になっている時はない。おじさんにとって、今の若者を理解することは、今という時代を理解することでもある。

◇第1章 イマドキ20代社員は「余暇ファースト」 企業も「休める」アピール合戦
◇第2章「人生をサボりたくないから、仕事ばかりできない」/ハピキラFACTORY代表取締役、ソニー社員・正能茉優(25)


第1章 イマドキ20代社員は「余暇ファースト」 企業も「休める」アピール合戦

 6月から、新卒採用の企業面接が解禁。時代とともに若者が会社に求めることは変化している。どうやら今の若者は、休みを重視する「余暇ファースト」主義らしい。世代間の価値観のギャップが原因で、職場でハレーションが起きるのは世の常。彼らの行動の背景や本音を知ることから始めよう。

 頼むから、出ないでくれ――。
 都内の大学に通う、就職活動真っただ中の男子大学生、横山正さん(仮名・21歳)。ここ数日、夜11時以降は、一人暮らしのアパートの部屋から『志望企業』に電話をかけるのが日課になっている。汗ばむ手でスマホを握りしめ、祈るように番号を押す。だがワンコール鳴ったところで、願いは砕け散る。
 「はい、○○(会社名)でございます」
 相手の声を聞き、急いで電話を切った。
 「ここも、ウソつきか……」
 手帳に書いた志望リストの中から、電話に出た企業名にチェックを入れる。優先順位が落ちたことを示す印だ。日曜日に電話して電話に出た企業にも、同様のチェックをつけた。明日は友達と飲みに行った後、深夜に志望企業の電気が消えているかどうか直接見に行くつもり。こうして、入社後に残業を強いられないか、週末は本当に休めるのか、企業の実態を確かめているのだ。
 そこまでする理由は、企業が採用募集時に公表する平均残業時間や有休消化率を「全く信用できないから」(横山さん)だという。
 「現に残業ゼロをうたっているところでも、深夜や日曜日でもワンコールで電話に出る人がいて、背後で働く人がいる様子が伝わってきたこともある。先輩からも『会社が公表する数字なんて、お飾りみたいなものだ、信じるな』って言われてきました。いわば選考に進む前の『自己防衛』みたいなものです・・・

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20代社員は休みファースト おじさんたちは会社ファースト?
216円(税込)

激動の60年代、混迷の70年代、虚飾の80年代、喪失の90年代……。そして縮小の21世紀。経済第一で走って来た戦後の日本は、成長より生活重視の時代を経て、不可逆的な停滞・縮小期を迎えつつあるようにも見える。その急激な変化が端的に表れているのが企業だ。会社中心のおじさんたちと、余暇・生活重視の若者たち。世代間のギャップはいつの時代も言われてきたが、今ほど切実になっている時はない。おじさんにとって、今の若者を理解することは、今という時代を理解することでもある。(2017年6月9日号、5600字)

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