世相・風俗
朝日新聞出版

昭和エロ看板のあやしい味わい 「奥座敷の秘術」「うふんの本場」

初出:週刊朝日2017年5月26日号、6月2日号、6月9日号
WEB新書発売:2017年7月6日
週刊朝日

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 「下品には描かない。品のいいエロスを心がけています」。関西で成人映画館の看板絵などを描く60代の男性は話す。「踊り子はセクシーなだけではダメ」と話すストリップ劇場のポスター絵師は、パソコンを使わず、下書きも鉛筆だ。風俗の世界で新しいムーブメントが起きるのは、なぜか関西。あやしい看板を描く絵師らに話を聞いた。好評の「小泉信一の裏昭和史探検」。5回目は、このほか「秘宝館」「フランス座」を取り上げる。

◇第1章 フランス座/「ヌードさん」の着衣の秘密
◇第2章 ピンク看板/絵師が描く「下品でない」裸体
◇第3章 秘宝館/風俗業界の「55年体制」とは


第1章 フランス座/「ヌードさん」の着衣の秘密

 今回はゲージュツ、いや、ガクモンの話。正座して読んでください。

 芸というのは虚にして虚にあらず、実にして実にあらず――。
 その微妙な「虚実皮膜の間」に芸の本質があると唱えたのは、江戸時代の近松門左衛門だった。脱ぐか脱がぬか、全部見せるか見せないか。ほの暗いスポットライトの下で、優雅に、ときに妖しく舞うストリップも「裸の舞台芸術」だ。
 とりわけ東京・浅草の六区興行街にあった「浅草フランス座」は都会的で洗練された踊りが人気を呼び、その舞台に上がることは幕あいのコントを演じるコメディアンたちにとっても芸能界の登竜門だった。専属の文芸部もあり、作家の故・井上ひさしもコントの台本書きをしていた。「フランス座はストリップ界の東京大学だった」と称賛していたほどだった。
 開業は昭和26(1951)年。サンフランシスコ講和条約調印で日本が独立を回復する年である。前年に勃発した朝鮮戦争の特需もあり、日本経済は回復。繊維産業の復興もめざましく、「糸へん景気」という言葉も生まれた。黒澤明監督の映画「羅生門」がベネチア国際映画祭でグランプリに輝いたのもこの年だった。
 浅草の公園六区交番のすぐ近く、いまの浅草演芸ホールが立っている場所だった。鉄筋3階建てで、客席は400席。フルバンドが入るオーケストラボックスもあり、当時の日本で最大級の「ストリップ劇場」だった。新宿、池袋に姉妹劇場もあり、「東京ほど女性のハダカショーを見ることができる都市はない」と外国人も驚いたそうである・・・

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昭和エロ看板のあやしい味わい 「奥座敷の秘術」「うふんの本場」
216円(税込)

「下品には描かない。品のいいエロスを心がけています」。関西で成人映画館の看板絵などを描く60代の男性は話す。「踊り子はセクシーなだけではダメ」と話すストリップ劇場のポスター絵師は、パソコンを使わず、下書きも鉛筆だ。風俗の世界で新しいムーブメントが起きるのは、なぜか関西。あやしい看板を描く絵師らに話を聞いた。好評の「小泉信一の裏昭和史探検」。5回目は、このほか「秘宝館」「フランス座」を取り上げる。(2017年5月26日号、6月2日号、6月9日号、8000字)

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