医療・健康
朝日新聞出版

入院したら歩けなくなった 高齢者は特に注意の機能障害

初出:週刊朝日2017年10月6日号
WEB新書発売:2017年10月19日
週刊朝日

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「入院関連機能障害」という言葉を知っているだろうか。入院すると病気は良くなる――と思うのが普通だが、高齢者は注意。入院のきっかけとなった病気とは別に、入院で新たに機能障害が生じることがある。キーワードの一つは「リロケーションダメージ」。入院に限らないが、生活環境が変わると人は大きなストレスを受ける。もう一つは「廃用症候群」で、ベッドの上などでずっと安静にしていることで筋肉や関節・骨などが弱ってしまう。甘く見てはいけない。いったん発症すると回復は難しく、死を招くこともある。最近の高齢者医療は、安易に入院させないという考え方が主流だ。

◇第1章 3人に1人、高齢者は入院で『悪化』する/元に戻れるのはたったの3割!?
◇第2章 肺炎は治ったが歩けなくなった
◇第3章 リハの専門医がいることも重要


第1章 3人に1人、高齢者は入院で『悪化』する/元に戻れるのはたったの3割!?

 高齢者にとって入院が『害』になることもある――。そんな、にわかに信じがたい実態が少しずつ明らかになってきている。問題になっているのは「入院関連機能障害」で、足腰が弱って歩けなくなったり、意識障害を起こしたり、認知症を発症したり……。高齢者の安易な入院は、かえって健康状態の悪化を招くという。

 「入院してたった1週間で、母が自分の名前を書けなくなるなんて……」
 そう驚いたのは、ノンフィクションライターの中澤まゆみさんだ。地方都市に父親と2人で暮らしていた母親(当時91歳)は、昨年、肺結核の疑いで専門病院に検査入院した。中澤さんが病院を訪ねると、それまでと様子がまったく変わっていたという。
 「母は初期の認知症(要介護1)で、字はふつうに書けていました。ところが、この日、病院に提出する用紙に署名をしてもらおうとしたら、自分の名前の漢字を忘れたと言うんです」(中澤さん)
 さらに、トイレに行くにもよろよろする、ぼーっとして受け答えもはっきりしない。これらは入院前にはなかった症状だった。
 母親が退院したのはその3日後。自宅に戻ってもダメージはひきずったまま、尿失禁もひどくなった。入院前からお世話になっているかかりつけ医や訪問看護師、介護スタッフなどの協力で、症状は改善したが、落ち着くまで1カ月もかかったという。
 「多くの人は入院すると病気がよくなると思っています。若い方はそうなのでしょうが、高齢者は入院によってかえって健康状態を悪くさせてしまうことがある。安易な入院は控えようと思いました」(同)
 入院することで、寝たきりになる、認知症が進む、骨粗しょう症になる、心臓や肺の機能が弱る、介護度が上がるなど、高齢者の場合、元気になるはずの入院で、起こってしまうさまざまなトラブル・・・

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入院したら歩けなくなった 高齢者は特に注意の機能障害
216円(税込)

「入院関連機能障害」という言葉を知っているだろうか。入院すると病気は良くなる――と思うのが普通だが、高齢者は注意。入院のきっかけとなった病気とは別に、入院で新たに機能障害が生じることがある。キーワードの一つは「リロケーションダメージ」。入院に限らないが、生活環境が変わると人は大きなストレスを受ける。もう一つは「廃用症候群」で、ベッドの上などでずっと安静にしていることで筋肉や関節・骨などが弱ってしまう。甘く見てはいけない。いったん発症すると回復は難しく、死を招くこともある。最近の高齢者医療は、安易に入院させないという考え方が主流だ。(2017年10月6日号、5700字)

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