世相・風俗
朝日新聞出版

人生相談の電話がテレクラに進化 ヒットの理由は「顔が見えない」?

初出:週刊朝日2017年10月6日号、10月13日号、10月20日号
WEB新書発売:2017年11月9日
週刊朝日

このエントリーをはてなブックマークに追加

 1980年代初め、東京・新宿にできた風俗店。働く女性のためにオーナーは電話を開放、人生相談などに応じるよう男性スタッフに命じた。男性たちはそのうち面倒くさくなり、店に来る客に応対を頼むようになった。これが評判を呼び、雑誌に載ってしまった。あろうことか電話番号付きで。そして、店とは関係のない女性まで電話をかけてくるようになった。店はその後、テレホンクラブ(テレクラ)に転業した。人気シリーズ「小泉信一の裏昭和史探検」。今回は、80年代の風俗を象徴するとも言われる(現在もある)テレクラのほか、「のぞき部屋」「ビニール本」を取り上げる。

◇第1章 のぞき部屋/「スケッチブック」の意味
◇第2章 テレクラ/きっかけは女性従業員の心のケア
◇第3章 ビニール本/スケスケとモヤモヤの彼方に


第1章 のぞき部屋/「スケッチブック」の意味

 「のぞき部屋」。見たことあります?これから、あなたの目はあなたの体を離れ、不思議な穴の世界に入っていくのです……。

 江戸川乱歩の名作『屋根裏の散歩者』を挙げるまでもなく、他者をひそかにのぞき見るという行為は、しばしば文学のモチーフとして愛好されている。あの小説では、郷田三郎という男が下宿屋の天井板を開けて天井裏に侵入。隣人たちの生活をのぞいていた。
 書くのもはばかられるようなすさまじい狂態も、郷田は目撃する。「天井からの隙見というものが、どれ程異様な興味のあるものだかは、実際やって見た人でなければ、恐らく想像も出来ますまい」と告白。人間の心の底にひそむ欲望や劣情である。
 さて、今回はそんな人間の「のぞき見願望」を逆手に取った風俗店を紹介したい。
 例によって大阪が発祥という説もあるが、証明することは難しい。東京では、昭和56(1981)年の10月末に渋谷駅南口近くにオープンした「のぞき劇場『シアター4・5』」が第1号ともいわれている。
 円形の劇場を取り囲むように、20ほどの個室があったという。各個室には、背伸びして見るような高いところと、寝そべって見るような低いところの2カ所にのぞき穴があった。背伸びするほどの高さ、というのが何とも人間くさい。寝そべって見る、というのも妙なリアリティーがある。
 「犯罪ギリギリの臨場感にこだわっていたのです・・・

購入する

この記事の続きは、WEB新書でお読みいただけます。

人生相談の電話がテレクラに進化 ヒットの理由は「顔が見えない」?
216円(税込)

1980年代初め、東京・新宿にできた風俗店。働く女性のためにオーナーは電話を開放、人生相談などに応じるよう男性スタッフに命じた。男性たちはそのうち面倒くさくなり、店に来る客に応対を頼むようになった。これが評判を呼び、雑誌に載ってしまった。あろうことか電話番号付きで。そして、店とは関係のない女性まで電話をかけてくるようになった。店はその後、テレホンクラブ(テレクラ)に転業した。人気シリーズ「小泉信一の裏昭和史探検」。今回は、80年代の風俗を象徴するとも言われる(現在もある)テレクラのほか、「のぞき部屋」「ビニール本」を取り上げる。(2017年10月6日号、10月13日号、10月20日号、7800字)

    スマートフォン、タブレットでも読めます。

    Facebookでのコメント

    このページのトップに戻る