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経済・雇用
朝日新聞出版

中国メーカーがトヨタを抜く 日本企業の神話が終わる日

初出:2017年12月15日号
WEB新書発売:2017年12月21日
週刊朝日

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 中国経済の強さが目立っているが、心から敬服している日本人はまだ少ないのではないか。最先端のITはもちろん、従来型の工業でさえ、自動車などちょっと複雑な分野になるとまだまだ。極端に言えば、中国経済の強みは「規模が大きい」ことだけでは?と思っているフシもある。だが、考えてみてほしい。経済は規模の大きさそれ自体が強みになるほか、規模が大きい者はルールやスタンダード、時代のトレンドを作ることができる。変化の局面にある自動車産業。トヨタは10年スパンの視点で見れば「巨大企業」だが、100年スパンで見れば、かつてそんな企業もあったなあ、と言われるかも知れない。トヨタをはじめとする日本の自動車産業の現状について、ジャーナリストの井上久男が報告する。

◇第1章 トヨタが中国メーカーに追い抜かれる日/巨大市場生かし、世界の覇権ねらう中国自動車産業
◇第2章 西川・日産社長に抵抗勢力?/自前主義を捨てたホンダ


第1章 トヨタが中国メーカーに追い抜かれる日/巨大市場生かし、世界の覇権ねらう中国自動車産業

 自動車産業が100年ぶりの変革期を迎えている。電気自動車(EV)や自動運転の開発競争が世界的に激化し、中国企業は巨大市場を背に急成長中だ。世界を席巻した日本の自動車産業は、変革に対応できなければ、液晶・半導体産業と同様に世界の主役の座を奪われかねない。

 「トヨタグループ内で株価のヒエラルキーが崩れている。デンソー株が上がり、一時はトヨタに追いつく気配さえあった。株価は将来への期待値の一面もあるから、トヨタ本体の未来は決して明るいとは言えない」
 こう語るのは、トヨタグループ企業の役員。11月末のトヨタの終値は7044円で、デンソーは6305円と739円の差。ちなみにトヨタ発祥の企業、豊田自動織機は6970円で74円差。財務に詳しい元トヨタ幹部は、株価の動きについてこう評する。
 「業績が安定しているトヨタグループの株価は、トヨタから1千円引くと豊田自動織機、2千円引くとデンソーといった相場観があった。それが崩れている感じで、トヨタへの期待感が低いということでしょう・・・

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