大阪維新の会が開講した維新政治塾に全国から2000人もの受講生が殺到した。決定できる民主主義を掲げ、新たな統治機構の構築に疾走する橋下徹代表への期待感の表れといえる。維新旋風に戦々恐々なのが、既成政党だ。大阪の形を変えるために生まれた大阪維新の会が、国政にも足をかけるのか。今、日本で最も勢いのある政治家、橋下徹代表の全貌に迫る。
◇橋下流・政治手法の核心
◇市政改革の二つの標的
◇「大阪をよくする」が僕らの原点/大阪議会議長・浅田均
「自立」をキーワードに日本社会の再構築を掲げ、足元の大阪市では教育・公務員制度改革に踏み出した橋下徹・大阪市長。今、最も注目を集める政治家の「政治手法」を解き明かす。
もたれ合いの旧弊をリセット 目指す社会のカギは「自立」
「今の日本は危機的な状況です。仕組みが悪いんです。体制を変えなければなりません。体制を変える戦とは選挙です。来るべき大戦に備えてしっかり準備していきましょう」
よく通る声が広い会場内に響き渡った。げきを飛ばしたのは、「大阪維新の会」の橋下徹代表(大阪市長)。持ち味の強い発信力で会場を瞬時に圧倒した。3月24日、国歌斉唱で始まった大阪維新の会「維新政治塾」の開講式の光景である。
次期衆院選の候補者養成などを目指す維新政治塾は、塾生を公募。地方議員、公務員、会社員や会社経営者、弁護士、医師など3326人の応募者が殺到し、このうち2262人が1次選考を通過。受講料を支払った2025人がこの日の開講式に臨んだ。出身地は山形県以外の46都道府県に及び、約9割が男性。30代や40代の現役世代が目立った。
◎厳しい言葉をはっきりと相手にぶつける橋下流
今の日本で最も勢いのある政治家といえば、強烈な言動で旋風を巻き起こしている橋下代表だ。その政治手法や行動原理、価値観が維新政治塾に濃縮されている。開講式でこんな場面があった。
「国歌斉唱のときに腕を前に組んでいた人がいました。これはマナー違反です。気を付けの姿勢で歌うものです」
橋下代表が身ぶり手ぶりを交えて、受講生にこう語った。規律を重んじる橋下代表の人間性がよく表れた瞬間だった。橋下代表はその後「いや、僕も最近(それを)知ったんですけどね」と言葉を続け、会場を少し和ませた。
開講式では橋下代表の他、4人の大阪維新の会幹部が演壇に立ち、維新政治塾の方向性や大阪維新の会の理念、目指すべき国家像などを説明。誰もが真剣な表情で聞き入っていた。
大阪維新の会が目指すのは「これまでの社会システムをリセットし、そして再構築する」ことだという。例えば、中央集権型から地方分権・ネットワーク型への転換である。現在の仕組み(統治機構)を変えない限り、未来を切り開けないとの強い危機感に基づくものだ。
仕組みを変える際のキーワードと彼らが位置付けるのが「自立」。「依存ともたれ合いのあしき流れを断ち切り、自立した個人、地域、国家に」(橋下代表)という考え方だ。こうした主張の明快さ、わかりやすさが橋下流政治手法の真骨頂といえる。
大阪維新の会は6月までに受講生の2次選考を実施し、800〜1000人に絞り込むという。レポートやディスカッション、街頭演説などで選別し、これに合格して初めて正式な塾生となる。橋下代表は開講式のあいさつで「危機感と価値観を共有する本来の政治集団をつくろうと思います。(自分に)合わないなと思ったら去っていただいて結構です」と、くぎを刺した。そして、受講生に「切磋琢磨と(意味ある)論争をしっかりやっていただきたい」と訴えた。厳しい言葉をはっきり相手にぶつけるのも橋下流だ。
大阪維新の会は、大阪の課題を解決するために結成された地域政党で、国政に関与しない方針を掲げていた。目玉政策が大阪都構想の実現だ。最大のハードルが、国会による法制度の整備である。各政党は昨年11月のダブル選挙後、都構想に理解を示し、競うように法案の取りまとめに動いている。
しかし、不安定な政治情勢が続いており、法案がたなざらしのまま国会解散という事態も起こり得る。大阪維新の会はお願いだけでは駄目だと判断し、国政に関与する体制づくりに乗り出したのである・・・
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維新政治塾に全国から2千人の受講生が殺到した。決定できる民主主義を掲げ、新たな統治機構の構築に疾走する橋下徹代表への期待感の表れといえる。今、日本で最も勢いのある政治家、橋下徹代表の全貌に迫る――。4月7日号の特集「大攻勢を仕掛ける大阪維新の会 『橋下政治』の本質」より。[掲載]週刊ダイヤモンド(2012年4月7日号、8600字)
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