■金融制度改革の遅れが足かせ
■人民元の国際化に向けた歩み
■通貨戦争よりも通貨協力を
2012年3月初旬に開かれた全国人民代表大会(全人代)の閉幕の記者会見で、中国の温家宝首相は人民元の為替レートの動向に関する質問について次のように答えた。「これまでの中国政府の努力によって中国の国際貿易の不均衡がかなり是正されており、人民元の為替レートも均衡水準に近づいている」。この発言は、中国政府としてこれから人民元を大きく切り上げないことを示唆するものと受け止められている。
一方、これまでの人民元切り上げの経緯を振り返れば、それは主としてアメリカからの圧力によるところが大きい。アメリカは本来、大統領選の年に中国に対して人民元切り上げの圧力を強めてきた。しかし、ここに来てオバマ政権はあえて中国に人民元切り上げを迫っていない。
なぜならば、アメリカ経済はすでに回復の兆しをみせているのに加え、共和党候補者争いは予想以上に混戦が続いてきたため、オバマ大統領が再選について自信を持ち始めているからだ。また、対中貿易不均衡は依然大きいものがあるが、信用危機に陥っている欧米諸国を救うために、中国の協力は不可欠であり、ここで安易に中国に圧力を掛けることは得策ではないと判断されているようだ。
全人代の期間中・・・
![]()
大統領選の年に中国に対して人民元切り上げの圧力を強めてきたアメリカ。しかし、オバマ政権は中国に切り上げを迫る様子もなく。中国の温家宝首相は全人代閉幕の記者会見で、中国政府としてこれから人民元を大きく切り上げないことを示唆した。果たして人民元vs.ドルの通貨戦争は起こるのか。その背景と今後の展望を追う。[掲載]e‐World(2012年4月25日、3400字)
スマートフォン、iPadでも読めますこの商品のアドレスをメールで送る
![]()
WEB新書の料金のお支払いはクレジットカードでの決済となります。朝日新聞社が提供する決済・認証サービス「朝日新聞Jpass」への登録および、購読手続きが必要です。