◇福島・浪江町民、高線量地と知らず避難
◇児玉東大教授・同行ルポ 除染「科学者の責任」
◇汚染稲わら行き場なし
◇信頼揺らぐ福島県産米
2011年11月9日掲載
福島第1原発事故で福島県浪江町の住民が集団避難した同町津島地区は、高濃度の放射性物質が降り注いだ地域だった。だが、放射性物質が大量に漏れた情報は国や東京電力からもたらされず、住民は自分の身に危機が迫っていることを知らずに事故後の4日間を過ごした。
(勅使河原奨治)
発令
3月11日午後2時46分。浪江町の馬場保町長は町長室で激しい揺れに遭った。災害対策本部を設け、防災無線で町民に津波からの避難を促した。
浪江町は横に長い。東は太平洋に面し、西は海岸線から30キロ以上内陸に食い込んでいる。第1原発の立地する双葉、大熊町は南に位置し、浪江町の東半分は原発事故後に警戒区域に指定された。
11日は沿岸部の町民らが続々と役場に避難してきて、役場は炊き出しや毛布の準備に追われた。
深夜、町長は作業が一段落し、テレビのニュースに目を向けた。第1原発が原子炉を冷却できなくなったとして、政府が緊急事態宣言を発令したと告げていた。
翌12日午前5時44分。福島県は浪江町の一部を含む10キロ圏内の住民に避難指示を出した。テレビの情報だけを頼りに町は災害対策本部を原発事故対策本部に切り替えた。
渋滞
町は12日午前10時ごろ、町民を津島地区に集団避難させる方針を決めた。第1原発から約30キロ北西にあり、町内で最も離れていたからだ。
役場から津島地区へつながる国道114号は避難者の車で埋め尽くされた。同町の無職横山洋子さん(70)は「普段なら20分で着くのに4時間かかった」と振り返る。
・・・
![]()
福島第1原発事故で福島県浪江町の住民が集団避難した同町津島地区は、高濃度の放射性物質が降り注いだ地域だった。だが、放射性物質が大量に漏れた情報は国や東京電力からもたらされず、住民は自分の身に危機が迫っていることを知らずに事故後の4日間を過ごした。(2011年11月9日〜12月3日、10800字)
スマートフォン、iPadでも読めますこの商品のアドレスをメールで送る
![]()
WEB新書の料金のお支払いはクレジットカードでの決済となります。朝日新聞社が提供する決済・認証サービス「朝日新聞Jpass」への登録および、購読手続きが必要です。