原発事故によって長期的な被曝医療体制の構築が求められている。しかし、医療と原発の関係に光が当てられることはない。最先端を行く医療界が『原子力ムラ』に侵食されているとは誰も思わないからだ。医療と原発が交わる最前線を追った。
「世間に迎合するように2分の1にするのか」
放射線影響の専門家らで構成する文科省の放射線審議会が2月2日、厚労省が昨年12月に発表した食品の暫定規制値の見直し案に異議を申し立てた。
一般食品では現行の1キログラム当たり500ベクレルから100ベクレル以下への引き下げを認める一方、乳児用食品と牛乳をその半分の50ベクレル以下まで引き下げることが「厳し過ぎる」というのだ。
議論の中では、同審議会委員で独立行政法人「放射線医学総合研究所(放医研)」の酒井一夫・放射線防護研究センター長が発言した。
「今回は100ベクレルで設定すれば、子どもは適切に防護されていると考えてよい」
酒井氏は東大医学部、ハーバード大で研究し、世界各国が指標とする被曝基準を定める国際放射線防護委員会(ICRP)委員を務めるなど、この分野のエリート。震災直後、被曝問題全般で官邸に助言する「原子力災害専門家グループ」のメンバーにも選ばれた。
だが、その経歴に気になる点がある。1999年から約7年間在籍した財団法人「電力中央研究所(電中研)」は、その運営費の大半が電力9社などによって賄われている。酒井氏がここで打ち込んだのが、温泉の効能などとしてうたわれることがある「ホルミシス効果」と呼ばれる被曝影響だった・・・
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原発事故によって長期的な被曝医療体制の構築が求められている。しかし、医療と原発の関係に光が当てられることはない。最先端を行く医療界が「原子力ムラ」に侵食されているとは誰も思わないからだ。医療と原発が交わる最前線を追った。[掲載]サンデー毎日(2012年2月26日号、4100字)
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