セシウムによる低線量被曝の議論に一石を投じたのが、「チェルノブイリ膀胱炎」だ。危険性を示唆する有力な研究だが、日本の研究機関や学会の重鎮は全面的に否定している。研究者本人は今、何を思うのか。
「私が言いたいのは、顕微鏡で見た膀胱の変化が、これまでに見たことのない異常なものだったということです。この点だけははっきりと言います」
チェルノブイリ原発事故(1986年)後、膀胱が前がん状態となる「チェルノブイリ膀胱炎」を研究した福島昭治・大阪市立大名誉教授(71)=現・日本バイオアッセイ研究センター所長=の口ぶりが少しずつ熱を帯びる。
福島氏がチェルノブイリ原発のあるウクライナの住民の膀胱に異常な病変を見つけたのは約15年前、大阪市立大医学部の研究室でのことだった。膀胱の組織片を顕微鏡で見ると、すりガラスのように表面が荒れた細胞の像が浮かび上がった。
「おい、これなんや」
通常の上皮細胞は同じ大きさに整然と並んでいるのに、不揃いな形に変化し、上皮の下にある粘膜の固有層には液が浸み出し、血管と繊維が増えていた。膀胱研究の世界で第一人者の福島氏ですら、経験したことがなかった病変。共同研究者のウクライナ国立泌尿器疾患研究所付属病院の病理部長だったロマネンコ医師も「現地でも見たことがない」と首を振った。
研究を進めると、・・・
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セシウムによる低線量被曝の議論に一石を投じたのが、「チェルノブイリ膀胱炎」だ。危険性を示唆する有力な研究だが、日本の研究機関や学会の重鎮は全面的に否定している。研究者本人は今、何を思うのか。[掲載]サンデー毎日(2012年3月25日、4300字)
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