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特集 (2)自分の器を超えたところでの苦しみを味わっている

2016年8月31日更新
写真:橋本さとし=岩村美佳撮影 橋本さとし=岩村美佳撮影

――エネルギーの消耗、橋本さんは演じ手としていかがですか。

橋本:メッチャ感じています。ウォーミングアップどころか、毎日毎日オーバーヒートですよ(笑)。よくマンガとかで頭と心から煙が出てたりするでしょ、よく描写されているなと思いますよ。まさにそんな状態。うわーって!

 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホという人物に関わるということは本当に、ある種の覚悟が必要。僕も流れに身を任せていたら、知らぬ間に、生半可な気持ちでは居られない場所にたどりついていたような感じです。

――ヴィンセントを演じるにあたっては、オーバーヒートなくしては……といったところでしょうか。

橋本:役者としてというだけでなく、橋本さとしという人間として自分の限界、器の小ささというような劣等感を抱き、苦痛を感じている。でも、今、自分が感じているものなんて、苦しみもがいていたヴィンセントの生涯と比べれば微々たるもの。本当にしょうもないものなんです。この役を演じるには役者がどれだけズタボロになって、少しでもヴィンセントが味わった苦悩を味わえるか。僕らは自分の器を超えたところでの苦しみを味わっているところなので、もういやですよ。しんどい。でもそこまでしないと演じるのが失礼にあたるんじゃないかと思えてくるんです。

 苦しみに身を委ねることで、僕なりのヴィンセント・ヴァン・ゴッホが生まれてくるような気がするから、ある時期から苦しむことにあらがわないようにしました。

河原:その通りだと思いますよ。ヴィンセントを演じるにあたってはそうなりますよね。俳優として真摯(しんし)に取り組むほど、そうならざるを得ない。格好つけていたら、無理無理。

橋本:ヴィンセントに近づくためには、楽はできないですね。それは演じ手もそうですが、演出家として見ているのも一緒でしょ。しかも、今回はヴィンセントとテオが3人ずついるから、それぞれを見ているのって本当に苦痛だと思いますよ。ウォーミングアップと思っていたのにね。

河原:苦痛だと思いますよって(笑)。僕は今のところはいたって無痛です。いや、連日そう自分に言い聞かせつつそこに身を置いています(笑)。

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