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特集 (3)テオはすごいな。普通の人ではできないですよね

2016年8月31日更新
写真:河原雅彦(右)と橋本さとし=岩村美佳撮影 河原雅彦(右)と橋本さとし=岩村美佳撮影

――ここからは苦悩する兄の傍らにいるテオについてうかがいます。橋本さんは岸さんとペアを組まれています。気心の知れた岸さんのテオはいかがですか。

橋本:岸はもともと“しっかりした弟”気質なんです。僕は私生活でもあいつに支えてもらっているところがあって(笑)、心の友でもあるし。だから、自分がヴィンセントをやるとなって、俳優の中でテオは誰かと考えたとき、まず浮かんだのが岸祐二なんです。それがこうして現実になったわけですが、もしテオ役が全然知らない俳優だったら2人の信頼関係から作らないといけないところ、岸がきてくれたおかげで、そこはあらかじめクリアされていました。リーダーからも「兄弟を演じるからには、とりあえずみなさん一緒に風呂入ってください」って言われたし(笑)。そのぐらいの関係が求められるんです。

――おふたりの関係はお芝居にも表れていますか。

河原:その関係性は反映されていますよね。まだ稽古開始から10日ほどですが、俳優としての信頼関係をベースに、ここからはヴィンセントとテオという関係に深めていけるといいなと思っています。

――ヴィンセントとテオの関係は作品の核心ですね。

河原:テオがヴィンセントを支えているだけの人に見えてはいけないと思うんです。テオはテオで実はヴィンセントに負けないくらいの葛藤があった。もしかしたら、表に出せるだけヴィンセントのほうがましだったのかもしれない。テオは、なんにも言わずに何十年か支えて、しかもヴィンセントが死んだあとは精神を病み、半年で死んでしまっているんですよ。そんなテオですから、兄の生前からただ介護している人というのではなく、2人ともおかしくなっているというゾーンにまで到達したいなと。

――テオの精神状態もすさまじいものがありそうですね。

橋本:確かにそう。ヴィンセントは発散型だし、先に逝っちゃうし。ずっと尽くして尽くして見送って、さらに孤独も感じたうえでテオは逝くんだもんね。

河原:テオはすごいなと思いますよ。何度も別れるタイミングはあるんです。いつ放り出してもおかしくない。例えば恋愛関係だとしたら、これを誰かに相談したら、「絶対に別れたほうがいいよ」って言われる。1万人いたら1万人がそう言うであろう人をテオは支え切ったんだから。普通の人ではできないですよね……というところが伝わる話になるといいなと思っています。

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