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特集 (1)すっごくおもしろい。でもこれ、芝居にしたら大変だ

2016年9月5日更新
写真:左から、倉田淳、青木隆敏、久保優二、石飛幸治=岩村美佳撮影 左から、倉田淳、青木隆敏、久保優二、石飛幸治=岩村美佳撮影

――現在稽古が始まったところですが、現段階で感じている作品の魅力を聞かせてください。

青木:まずは、実際に起きた事件を題材にしているところですね。誰かが仮想で作ったものではなく、この事件が本当に起きて、真相は謎に包まれたまま、殺人を疑われたリッヅィー・ボーデンが無罪になって……という。脚色されてフィクションの部分もありますが、元はノンフィクションなので、人間がなぜそうなっていくのか描かれるところがおもしろいです。もしかしたら、自分にも起こるかもしれない、同じ人間が起こしたことだから……と想像できるところかなと。

久保:本当に起こった事件は実際すごく恐ろしいもので、身近に起こったら正直受け入れられないですね。どんなに近い関係、例えば家族でも、その人との関係をどうしていいのかわからなくなってしまう。今回、僕はリッヅィーと、一番近い第三者である「女優」として関わっていくところに、一番やりがいを感じています。このポジションをもらえたことが、すごくうれしいですね。

石飛:やはり実際にあった事件であることが魅力だと思います。日本人はあまり知らないのですが、世界的にはものすごく有名で。YouTubeでリッヅィー・ボーデンを検索すると、アメリカやイギリスのテレビ番組のノンフィクションやインタビューが何個も出てくるんです。

 スタジオライフでの舞台化が決まる前に、倉田さんから「やろうと思うんだけど、どうかしら?」といわれて読んだのが最初です。まったく先入観なしに台本を一気に読んで、「すっごくおもしろい。でもこれ、芝居にしたら大変だ」と思っていたんです。そしてキャスティングされて、今本当に苦労しています(笑)。でも、その時代に生きていた人の感情や確執が舞台の上で展開されたら、台本を読んで想像したものよりもっとおもしろくなると思うので、稽古をしていてすごく楽しいです。

――私も戯曲を読んで、腹に一物持っている登場人物たちの確執や心理戦がスリリングでおもしろいと思いました。

倉田:登場人物たちの感情がとてもハッキリしていて、その感情の根源には葛藤が明確にあるんですよね。その明確な葛藤があるからこそ、感情の動きがみんなそれぞれものすごく明確になる。そこが、最初戯曲として読んだときにひきつけられました。ましてや、遺産相続をめぐる確執は今の世の中でもリアルに感じられますし、その中でリッヅィーの置かれた立場と彼女が抱え込んだ問題は、共感する方も多くいらっしゃると思います。

 そして、まだ女性の権利がなかった時代に、リッヅィーがどう自己主張して生きたか、同時に彼女の姉エンマは自立させてもらえない中で、どうやって自己をあやして人生を過ごしたのかも興味深かったです。エンマの生き方は、罪だと思わずに結局罪を犯していると思うんです。こうしたエンマの在り方は、現在に通じることがたくさんある。片や激しく燃えるリッヅィー、片や深くひそやかに潜行するエンマという対照的なふたりの女性が描かれていることがとてもおもしろく、ありとあらゆる魅力が詰まった2時間の戯曲だと思いました。

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