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特集 (2)キャスティングの理由? 支障があるので秘密です

2016年9月5日更新
写真:倉田淳=岩村美佳撮影 倉田淳=岩村美佳撮影

――本日お越しいただいている石飛さん、青木さん、久保さんはどのような期待をもってキャスティングされましたか?

倉田:今言うとたぶん支障があるので秘密にしておきたいです(笑)。でも絶対に信じているんです。リッヅィーは青木君がやってくれたら絶対いけると思うし、「女優」は久保君がトライアルして新境地を見つけてほしいと思うし、石飛の継母は鉄板です。みんなそれぞれ正義があるから、継母にも彼女なりの正義があるんですよ。この作品は素直に読むと、リッヅィーに寄り添ってしまうけれども、でもやっぱり人生は複雑な人間関係で成り立っていて、継母にも正義があって、アンチテーゼとしての強さを絶対持ってきてくれると思うのでキャスティングしました。

――では、みなさんは、倉田さんからどのようことを期待されてキャスティングされたと思いますか?

青木:父親と継母を斧(おの)でめった殺しにした疑いをかけられている女性って、ヒステリックで感情的で、激しいイメージがあるかもしれないですけれど、僕が演じるリッヅィーはもう44歳になっている設定なんですよ。

――リッヅィーは事件が起きた時は34歳で、本作はその10年後が舞台ですものね。

青木:自分が容疑者として裁判にかけられて、町の人からもいろいろうわさされて、お姉さんとの関係も修復していなくて。10年間いろんな思いを抱えて暮らしてきたリッヅィーは、きっとそんなに感情的にはならない気がしているんです。ましてや、もし自分が父親を殺していたとしたら、10年間殺人を疑われ続けて、「女優」とも関係しながら、お互いに絆みたいなものもあって。ある意味、思考が停止しているかもしれないし。でも、生きているということは、捨てていないものがあると思うんですよね。絶望のもっと向こうに行っているのかもしれないし、まだ希望側にいるのかもしれないし、そういうことを考え出すとわけがわからなくなる(笑)。

倉田:変わったのよ。若い時は「女優」が演じるリッヅィーの姿があって、それから10年の間にいろんなことがあって、変わってきたんですよ。

青木:その10年の間に層が厚くなっていったリッヅィーを演じるにあたって、まだ試行錯誤しています。それと、リッヅィーが起こした(と思われている)事件をそのまま描くのではなくて、劇中で「女優」に演じさせるじゃないですか。なぜ演じさせるのかっていう。その劇中劇にも、リッヅィーは出てくるわけですよ、本人ではなく女中役として。それを観ているお客様に納得してもらうために、どういうアプローチ法があるんだろうと試行錯誤しています。

――リッヅィーと「女優」は戯曲では、近所でうわさされるような関係と書かれています。リッヅィーに促されて、10年前のリッヅィーを演じる「女優」を演じる久保さんは、この役をどう捉えていますか?

久保:リッヅィーと「女優」は、恋人同士だと考えています。そういう関係だからこそ、自分はリッヅィーの真実を知りたい。いろいろと失うものがあるかもしれないけれど、その覚悟と決心、そして責任があると思うんです。そこに至るまでのリッヅィーと「女優」の関係については、今すごく考えているところですね。あと、「女優」として芝居をしているときに、あーめちゃくちゃ難しいなって思っていて(笑)。こういうお芝居の感じ、たぶん初めてなんですよね。「女優」は目的も気持ちもはっきりしているけれど、言葉はすごく遠回し。セリフにある単語の意味をどう捉えるかで、相手に渡すものが違ってしまう。だから、すごく苦労しています。

――見る方が深読みできるということは、演じる側は選択肢がたくさんあるということですものね。

久保:サーッと流し読みすれば全然おもしろくないですよね。だから読めば読むほど……(沈黙)。いや、本当に今、ひとつ言えることは、マジでよくわからないことになっているという(笑)。ひとつ、劇団員の久保優二として言えることは……非常に……ヤバイ。難しい。

一同:(笑)。

倉田:一度、混沌(こんとん)の中に陥って、そこからいろいろつかんではい出していくのよ。でも、おもしろいでしょ?

久保:そうなんです。難しいけど、それが、すっごくおもしろみを感じる「難しい」と「ヤバイ」なので大丈夫です!

――期待しています(笑)。石飛さんは、リッヅィーと対立する継母アビゲイルを演じられます。どういうアプローチをしていきたいですか?

石飛:まだちょっと役作りについては、台本の読み込みがこれからなんですけど。まず、スタジオライフでアメリカものってあまりやらないんですよ。だから、「あぁ、アメリカだ」と思った記憶ってどこにあるかなと思ったら、僕は「風と共に去りぬ」なんです。農場があって、黒人のメイドが出てきてという「風と共に去りぬ」の世界しかなくて。

 「エリザベート」とかによくあるような王家の確執だとか、日本の嫁しゅうとめ問題とはまた違う難しさが、この作品にはあると思います。この作品のタイトルは「BLOOD RELATIONS ~血のつながり~」で、血のつながりがない人間(=アビゲイル)が家族に入ってきて、さてどうなっていくのかがかぎだと思うんですね。台本には、リッヅィーとは仲が良かった時代があったのに、突然お母さんと呼ばれなくなるということも書いてあって、そこに何があったのか。いろいろとひもときたいです。

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