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特集 (2)ヴィンセントとテオ、動と静の2人の対比が面白い

2016年9月15日更新
写真:「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」公演から=桜井隆幸撮影
「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」公演から=桜井隆幸撮影

 この作品では、ヴィンセントが絵の道を志すことを決めてから亡くなるまでの人生が描かれている。アルルでのゴーギャンとの共同生活、その破綻(はたん)、耳の自傷行為など、よく知られたエピソードも盛り込まれる。テオ役の岸が、所々で別の人物となって登場する。

 「炎の画家」と称される壮絶な人生を、橋本はその言葉のとおり全身全霊で熱く演じ切り、弟テオ役の岸がそれをしっかりと誠実に受け止めた。動と静、2人の対比が面白い。

 苦悩するのは兄だけではない。兄の苦しみを受け止めて、弟テオもまた、もがき続ける。テオは兄が亡くなって半年後に痴呆(ちほう)で亡くなったのだと、この芝居を見て初めて知った。良き理解者という美談ですむ話ではなかった。だが、ヴィンセントの画家としての唯一最大の幸運はテオという、これ以上ないほどの理解者を得られたことだったのではないか。テオなしで画家ゴッホは存在しえなかった、かけがえのない創作のパートナーだったのだということが、この芝居から改めて伝わってくる。

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