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特集 (4)僕が役に取り組むときに三つ考えていることがある

2016年9月23日更新
写真:藤岡正明=岩田えり撮影 藤岡正明=岩田えり撮影

――今年出演されていた「グランドホテル」「ジャージー・ボーイズ」が特に素晴らしくて、私もすっかりハマっていたのですが、藤岡さんのエリック役とトミー役がどちらも素晴らしかったです。

 ありがとうございます。

――トミーってあんな人だったんじゃないかと思うほどでした。

 あんな人が周りにいたら大変ですよね(笑)。なんだコイツって。でも、そういう役づくりをしたのは僕なんですが。

――ふたつの役が全く違うタイプの役でしたが、どちらも「きっとこういう人だったと思う」と思わされました。あんなに正反対ともいえる役を、どうやってあれほどリアルに作り上げたのだろうと思ったのですが。

 褒め言葉と受け取らせて頂きます!

――100%褒め言葉です!

 基本的に僕が役に取り組むときに三つ考えていることがあるんです。一つ目は台本について。台本のなかで自分の役が何を担っているんだろうか、何を求められているのかを考えています。サッカーに置き換えてみると、自分はどのポジションにいるのか、シーンによってそのポジションも変わるんですが、今パスを回すべきなのか、バックパスか、前線へのパスか、それともドリブルするべきか、シュートを決めるべきなのか……ということです。

 二つ目は、台本のなかでの自分の役の感情線です。このときにこう思って、次にこういう出来事が起こったからこう思った、そして……と、僕らも生きていてあることですよね。その感情線をなるべく省かないようにして通りたいんです。役がどんな人であろうが、そこに抱えている感情の移り変わりをきちんと通ることで、うそではなくなります。もちろん芝居だからすべて虚構でしかないんですが。その感情線は台本で何を求められているかで変わりますし、台本を読めば読むほど、稽古をすればするほど、いろんなものが生まれるので、正解はないんです。ただ、やればやるほど生まれてくる膨大な感情の連なりを省かないようにしています。

 三つ目は、この人がどういう人であったのかというバックボーンを知ろうとすることです。「ミス・サイゴン」のトゥイ役であれば、ベトナム戦争、北ベトナム側、南ベトナム解放民族戦線の人間であったこと、社会主義に傾倒していった人間であること、その社会主義国家の人民委員長という責任者であること(ベトナムの〇〇省が日本の都道府県にあたり、人民委員長は東京都でいえば知事のようなポジションだそうです)、その人たちはどういうことをするんだろうか……そういうバックボーンを調べ、自分のなかに落とし込む。この人はこのときどう考えていたんだろうかというマインドを自分のなかに植え付けるんです。クリス役のときは、日本人である僕がアメリカ人の役をやったときに、日本人としての感覚をそのまま持ち込んでも意味がないので、アメリカ人としての常識は何なのだろうかということを自分のなかに最大限入れるように心がけました。

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