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特集 (5)歌をうまく歌うということは考えていない

2016年9月23日更新
写真:藤岡正明=岩田えり撮影 藤岡正明=岩田えり撮影

――なるほど。それはいつごろからやるようになったんですか? 最初からではないですよね?

 最初からではないですね! いつごろからだろう……。気づいたらですね。作品と向き合って俳優として何かをするとなったときにそう思ったんですよ。芝居が下手くそだなと思ったときからでしょうか。

――それは具体的にいつですか?

 いや、ずっと下手だと思っていますよ。

――そうなんですか!?

 上には上がいますからね。僕が芝居を楽しいと思うようになり、自分はこんなもんだったんだと経験をし始めたときでしょうか。舞台に立って4~5年経った頃だと思います。

――とくにこの作品というわけではないんですね。

 そういう作品はたくさんありますよ! その都度「下手くそだな」と思うんです。今言った三つのことは、下手くそでもできることなので、それぐらいやっておかないといけないと思っていますね。

――なるほど。以前から藤岡さんの芝居を拝見していますが、リアリティーがどんどん増していると感じていたので、伺えて納得しました。藤岡さんといえば歌も素晴らしいですが、歌はそこに自然に入っていくものなんですか?

 歌も作品によって変わりますね。「ジャージー・ボーイズ」はライブシーンもあって、歌と芝居が切り離されているところもあり、感情に乗せて歌うことはそんなにありませんでした。でも、「ミス・サイゴン」は終始音楽でつづる作品なので、今戦っている最中ですが、歌をうまく歌うということは考えていないです。今はとにかく感情を大事に、リアルベトナム人ということを絶対的に求めて探しているので、そこから考えていきたいと思っています。

――では最後に、読者の方へひと言お願いします。

 「ミス・サイゴン」を本当に頑張ります! リアルに取り組んで、自分自身の命をすり減らしてやるつもりでいますので、よろしくお願いいたします。

――ぜひ期待しています。今日はありがとうございました。

〈インタビューを終えて〉
 とても熱いインタビューだった。ていねいな口調ながらも、語る思いは激しく強い。「ミス・サイゴン」にかける思いの強さを肌で感じた。さらにすごいと感じたのは、熱量高く語りながらも、わかりやすく、論理的に語る人だということ。彼が政治家ならば、思わずその演説に聴き入って、投票してしまうのではないかと思った。

 正直に思いを語り、ときにとろけるような笑顔を向ける。その魅力にすっかり取り込まれてしまった感覚だ。戦いとチャレンジの結果生まれるトゥイ役はもちろん、今後、数々生み出されていくであろう役たちがますます楽しみになった。

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【フォトギャラリーはこちら】

◆ミュージカル「ミス・サイゴン」
《プレビュー公演》2016年10月15日(土)~18日(火) 帝国劇場
《東京公演》2016年10月19日(水)~11月23日(水・祝) 帝国劇場
《岩手公演》2016年12月10日(土)~11日(日) 岩手県民会館 大ホール
《鹿児島公演》2016年12月17日(土)~18日(日) 鹿児島市民文化ホール(第1)
《福岡公演》2016年12月23日(金・祝)~25日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
《大阪公演》2016年12月30日(金)~2017年1月15日(日) 梅田芸術劇場メインホール
《名古屋公演》2017年1月19日(木)~22日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール

⇒内容については公式ホームページなどでご確認下さい。
http://www.tohostage.com/miss_saigon/index.html

《筆者プロフィール》岩村美佳 フリーランスのフォトグラファー、ライター。舞台関係、ファッションなどを中心に撮影してきた経験をいかし、ライターとしても活動している。「目に浮かぶ言葉」を伝えていきたい。