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特集 (4)丸くなったし、穏やかになったと思います

2016年9月26日更新
写真:凰稀かなめ=岸隆子撮影 凰稀かなめ=岸隆子撮影

――宝塚時代は、ふだんから男役を演じていたんでしょうか。

 男役を作らなきゃいけないとは思っていましたが、トップになってしまったら、演じるとかはなかったですね。ありのままでした。

――そのころには存在そのものが男役になっていたと。

 そうかもしれません。男役を作っていくためには、余計な部分をそぎ落としていく作業が、研10からようやく始まります。いつまでもカッコつけているのではなく、中から出てくるものがカッコよくなくてはいけません。そうして自然に一人前の男役になっていくというのはあるかもしれませんね。

――なるほど! 長い年月をかけて男役を確立していくことの過程がストンと落ちてきました。そぎ落とすのかあ。

 そこが下級生と上級生の違いですね。私もこれからはカッコいい女性になっていきたいです。

――今はとにかくコンサートのお稽古に全力投球真っ最中ですね。何にでも果敢にチャレンジする姿は、変わらずすてきです。

 でも最近ね……歌詞もなかなか覚えられないし、たまに弱気になることがあるんです。

――宝塚時代はどうだったんですか?

 そんなことは一切言いませんでした。「疲れた」は今も言わないけど、あのころ、弱音は絶対に吐かなかったなあ。言ったら疲れるじゃないですか、どっちにしてもやらなきゃいけないし、恥をかくのは自分だから。今も同じ状況ではあるんですけどね。なんか弱くなっちゃう時があります。

――鎧(よろい)を脱いだみたいな感じでしょうか。トップスターのプレッシャーって、私たちには想像もできないほど重かったでしょうしね。

 重大な責任を背負っていましたから。公演のことも、組のことも、いろんなことが重なっていましたし。弱音を吐いてる場合じゃなかったですね。

――今、口に出せるようになったというのは、ナチュラルな自分に戻ったってことなのかも。

 そうかもしれませんね。丸くなったし、穏やかになったと思います。昔より笑うようにもなりました。思えば現役の時はずっとピリピリしていたような……。

――こう、眉間(みけん)にしわを寄せてね。でもそれがカッコいいんですよ。

 男役の味でしたね。ここの(眉間を押さえて)2本線が。

――それだけ神聖な存在です。宝塚トップスターというのは。私も凰稀さんは霞(かすみ)を食べて生きてると信じてましたもの。

 ええ、私、霞で生きてましたね。ごはんなんか食べない。決して、2人前なんか食べませんでした(笑)

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