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特集 (2)真相を語ることができない心の闇へ引きずり込まれる

2016年9月28日更新
写真:「BLOOD RELATIONS ~血のつながり~」公演から〈Doomチーム〉=劇団スタジオライフ提供 「BLOOD RELATIONS ~血のつながり~」公演から〈Doomチーム〉=劇団スタジオライフ提供

 そして、この複雑な構造を持つ芝居を魅力あるものにしたのは、スタジオライフの役者たち。現在のリッヅィーと、劇中劇の女中ブリジットを演じる青木は、セリフのないシーンでも意味ありげな視線運びや所作に目を奪われる。ブリジットとしてリッヅィーを見る視線には、女中としてお嬢様を見守る視線のみならず、恋愛ともとれる感情が、さらにはそれを追体験する現在のリッヅィーの複雑な感情がほの見える。リッヅィーと「女優」以上に、リッヅィーとブリジットは当時深い絆で結ばれていたのでは? そして今は……?と思いをはせると、「女優」に真相を語ることができないリッヅィーの心の闇へ引きずり込まれてしまいそうになる。

 そんなリッヅィーと対峙(たいじ)する「女優」をWキャストで演じたのは、松本と久保。松本演じる「女優」は、真実を知ることでリッヅィーを理解したいと強く思い、久保演じる「女優」は、リッヅィーを愛するがゆえに真実を知りたい気持ちと、知りたくない気持ちのはざまで揺れ動く。それゆえ、松本×青木のFateチームは「女優」とリッヅィーの対決色が明確でサスペンスとしての面白さが一層強く、久保×青木のDoomチームは、「女優」がリッヅィーに惑いながらシンクロしていく危うさが魅力になっている。彼らの正反対の役作りが作品のテンポやカラーに影響していて、まるで違う作品を見ているようで興味深い。

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